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【茨城大学工学部准教授 寄稿文②】自転車の利用環境から考えるまちづくり

茨城大学工学部 都市システム工学科 准教授 平田輝満

「自転車は車道」に方向転換

ではなぜ,最近になって「自転車は車道」と目立って言われるようになったのでしょうか.大きな転機は,国土交通省に設置された「安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会」からの提言(平成24年4月)と,それを受けて公表された国土交通省・警察庁による「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(平成24年11月.その後,平成28年7月に改訂)です.

 

ここで「自転車は車両であり,車道通行が大原則」という観点に基づき,自転車通行空間として重要な路線を対象とした面的な自転車ネットワーク計画の作成方法や,交通状況に応じて,歩行者,自転車,自動車が適切に分離された空間整備のための自転車通行空間設計の考え方等について提示されました.

なぜ改めて自転車を車道に出すか.その主な理由は,①歩行者の安全(歩道上で歩行者と自転車の事故が多いこと)と,②自転車の安全(そもそも歩道上を走っている自転車も実は安全ではないこと),が挙げられます.①は歩道上を縦横無尽に走る自転車が多いことから想像に難くありませんが,②は意外に思われる人も多いかもしれません.

 

自転車を自動車から守るためにやむを得ず歩道に自転車を上げたのですが,産学官で様々な分析や研究が行われた結果,自転車は歩道を走る方が事故に遭いやすいことが分かってきたのです.自転車に限らず交通事故の多くは交差点で発生しています.自動車・自転車・歩行者などの動線が交錯し,複数の方向を同時に確認しなければならないので事故が発生しやすいのは当たり前ですが,歩道通行が当たり前のこれまでの自転車の走り方がなぜ危ないか,見てみましょう.

 

歩道を通行する自転車の危険性

 

まずは実際の事故発生の事例を紹介します.図1は水戸駅から南に向かって伸びる幹線道路(市道39号線)において平成24~25年に発生した自転車事故の分析結果で,「水戸市自転車利用環境整備審議会」において茨城県警水戸警察署のご協力により分析されたものです.

 

幹線道路に出入りする細街路や沿道の店舗からの出入り口で発生した12件の事故を一つの模式図にしたものですが,脇道から出てきた自動車が幹線道路のどこを走っている自転車と出合い頭の事故を多く起こしているかよく分かります.車道(路肩)か歩道か,順走(左側通行)か逆走か(右側通行),の4種類に分けていますが,明らかに逆走している自転車や歩道を走っている自転車が事故に遭いやすい傾向があることが分かります.

 

実際にはそれぞれの位置を走行する自転車の総数を考慮した事故率で分析しなければ正確ではありませんが,同様の傾向が全国の事故分析(事故率でも分析)からも得られています.なぜ「逆走」や「歩道通行」をする自転車が事故に遭いやすいのでしょうか.これはクルマのドライバーが見えるところや見ているところを考えれば簡単ですが,図2に示すように車道の左側を走るクルマからは沿道の建物や植栽によってクルマの左手方向,つまり逆走する自転車は見えづらく,歩道上はさらに建物側に近づくためドライバーの死角に入ってしまいます.また,幹線道路へ合流するために右手方向からくる本線のクルマを確認しやすいとも考えられるので,なおさらです.

 

 

図3は交差点の左折自動車との事故件数です.いわゆる左折巻き込み事故が多く,バイクなどと同様に,この場合には左側を順走していても事故に遭いやすい傾向がありますが,やはり車道よりも歩道を走っている方が事故に遭いやすい傾向が確認できます.ドライバーは通常,車道左側を走るバイクなどの左折巻き込みに注意してサイドミラー等で左後方を確認しながら左折しますが,歩道には注意がいかなかったり,歩道上の植栽などで死角になり歩道から突然自転車が交差点に進入して対応ができなかったり,という状況が想定されます.

 

 

図4は交差点の右折自動車との事故件数ですが,歩道を逆走する自転車との事故が多い傾向が強く出ています.右折車と反対車線の対向直進車との衝突,いわゆる右直事故を気にする右折ドライバーが見ている方向や,前述と同じく,歩道上の植栽などで死角になり,逆走や歩道を走行する自転車が事故に遭いやすい傾向が出ていると考えられます.

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図1 細街路や店舗出入り口からの自動車との出会い頭事故件数(出典:水戸市自転車利用環境整備審議会資料)

 

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図2 細街路や店舗出入り口からの自動車の視野

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図3 右折する自動車との事故件数(出典:水戸市自転車利用環境整備審議会資料)

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図4 左折する自動車との事故件数(出典:水戸市自転車利用環境整備審議会資料)

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