死亡事故の遺族の方へ
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死亡事故の遺族の方へ
交通事故によっては、交通事故被害者の方がお亡くなりになられてしまう場合があります。ある日突然、大切な方がお亡くなりになることは、ご遺族の方にとって計り知れない悲しみです。
しかし、ご遺族の方しか被害者に代わって死亡事故における損害賠償請求を行うことはできません。ご遺族の方は、被害者に代わって適正な賠償金を受け取ることができるように、保険会社と交渉を行う必要があります。
死亡事故に対する当事務所ができること
遺族の方はそれぞれ事故についての思いは様々です。できる限り早期に事故のことを忘れたい、加害者や保険会社とできる限り連絡をとりたくない、将来不安なのできちんとした賠償金を獲得したいなど、死亡事故をおこされた遺族の方にとって少しでも想いを叶えられるようなお手伝いを一緒にさせてください。当事務所ではこれまでに死亡事故の解決が何件もありまして、遺族の方に寄り添った解決をしてきました。
死亡事故について、加害者側で刑事弁護をしている経験もあります。そこでは大きな違和感を感じることも少なくありません。その違和感とは任意保険に加入していることから賠償については他人事であり、事故をおこしたことについてもどこか他人事だということです。自分は運が悪かっただけだ、被害者に落ち度もあり私だけが悪いのではないなどと話すこともあります。
そのような声を聞く度に大きな違和感を感じます。当初は死亡事故をおこしたことのストレスなどを少しでも緩和するためにそのような自己正当化をしている部分もあるのではとも思いました。しかし、みなさん死亡事故をおこした方は逮捕などをされて長期間勾留されるようなケースは除いて、死亡事故をおこしたことについて当事者意識が希薄しているという結論に至りました。
当事務所では加害者には遺族への形式的な謝罪ではなく、一瞬にして家族や親族を失った気持ちをまず理解するために、同じような被害にあわれた遺族の方が書いた本を読んでいただくことを勧めています。
被害者はこれまで刑事裁判で傍聴しか認められてきませんでした。しかし、平成20年12月1日から,犯罪被害者等の保護・支援のための新たな制度として,被害者参加制度,被害者参加人のための国選弁護制度及び損害賠償命令制度が始まりました。これにより、被害者遺族が加害者(被告人)に対して直接刑事裁判で質問や裁判所に対して意見を述べることができるようになりました。当事務所では被害者参加制度を希望する遺族に対して弁護士として援助することができます。
このページを読んでいただいた方は交通事故により、一瞬にして家族・親族を失われた方だと思われます。
そのような方が少しでも加害者の一方的な謝罪申し入れや、保険会社との接点を少なくしたい場合、今後どのようにしたらいいか分からない方など是非一度ひたちなか日立にある弁護士法人片岡総合法律事務所までご相談ください。
死亡事故においても他の交通事故同様に、保険会社からの提示が適切でないケースが少なくありません。特に、逸失利益においては適切に賠償金の計算が行われていないことが往々にしてあります。死亡事故となりますと、他の事故と異なり保険会社・加害者共に丁寧に対応してくることがあります。保険会社・加害者の丁寧な対応に満足し、少ない賠償金で示談に応じることが散見されます。本来一番弁護士が介入するべき事案は死亡事故事案であります。保険会社・加害者の対応に満足することは決して悪いことではありません。しかし、弁護士に示談金が妥当であるかをチェックしてもらうことは被害者の気持ちを考えれば当然のことであります。
一般的には遺族が取得するであろう交通事故による損害賠償金について相続税、所得税いずれもかからないと考えられています。高額の賠償金を得る場合に遺族の間でどのような割合で賠償金を取得していくことが望ましいか等、今後の相続税も踏まえたアドバイスをすることが可能です。
死亡事故の損害賠償計算においては、被害者はお亡くなりになられているため、逸失利益や過失割合について、加害者の証言を基に被害者にとって不利な内容で計算が進められることもあるのです。しかし、弁護士に依頼すると、実況見分調書や事故目撃者の証言などから、被害者に不利な状況にならないよう代理人として活動し、適正な損害賠償金の受け取りが可能になります。
ご家族がお亡くなりになられ大変お辛いとは思いますが、被害者の変わりに適切な賠償金を受け取ることができるように、死亡事故においても弁護士にご相談をしていただくことをお勧めいたします。
死亡事故の損害賠償
交通事故に遭い、交通事故被害者の方がお亡くなりになられてしまった場合、ご遺族の方は損害賠償として、以下の4つの請求を保険会社にすることができます。
死亡事故の損害賠償の4分類
分類 | 項目 | |
① | 死亡するまでの怪我による損害 | 治療関係費、付添看護費、休業損害など |
② | 葬儀費 | 戒名、読経料、葬儀社への支払いなど |
③ | 逸失利益 | 本人が生きていれば得られたはずの収入 |
④ | 慰謝料 | 被害者および遺族の精神的苦痛に対する慰謝料 |
死亡事故の損害賠償額においても、ある程度基準はありますので、適正な賠償金を受け取るためにも、賠償金計算には十分に注意しなければなりません。
葬儀費
葬儀そのものにかかった費用や49日の法事の費用、仏壇購入費、墓碑建立費が若干認められる場合もありますが、自賠責保険では60万円までとされています。一方で裁判所の基準では、130万円~170万円程度が適切とされております。香典返しなどの費用は認められません。
慰謝料
被害者が死亡した場合の慰謝料は、被害者の遺族が被害者本人の慰謝料、ならびに遺族の慰謝料を請求することができます。慰謝料も自賠責保険の基準、任意保険の基準、裁判所の基準によって慰謝料の金額が大きく異なりますので注意して確認しておくことが必要です。
裁判所の基準の慰謝料
ケース | 慰謝料金額 |
一家の支柱の場合 | 2,700~3,100万円 |
一家の支柱に準ずる場合 | 2,400~2,700万円 |
その他の場合 | 2,000~2,400万円 |
自賠責保険の基準の慰謝料
対象 | ケース | 慰謝料金額 |
被害者本人 | – | 350万円 |
被害者の父母、配偶者、子供 | 遺族が1名の場合 | 550万円 |
被害者の父母、配偶者、子供 | 遺族が2名の場合 | 650万円 |
被害者の父母、配偶者、子供 | 遺族が3名以上の場合 | 750万円 |
※死亡者に被扶養者がいる場合には、200万円が加算されます。
任意保険の基準の慰謝料(現在は廃止されている従来の基準)
ケース | 慰謝料金額 |
一家の支柱であった場合 | 1,450万円 |
高齢者(65歳以上で一家の支柱でない場合) | 1,000万円 |
18歳未満(有職者を除く) | 1,200万円 |
上記以外(妻・独身男女) | 1,300万円 |
※任意保険の統一基準は廃止され、現在各保険会社が独自に支払い基準を作成しています。
従来の基準に準じている保険会社では、自賠責保険の基準よりも少し高い金額が採用されていることもあります。
死亡事故の逸失利益
交通事故被害者の方が、生きていれば得られたであろう将来の所得の推計を、死亡事故の逸失利益といいます。後遺障害にも逸失利益はありますが、死亡事故の逸失利益との違いは、①被害者の収入が100%無くなる点、②被害者が生きていた場合の年間消費支出額を控除すること、の2点があります。
死亡事故の逸失利益の算出方法は以下の通りになります。
●死亡事故の逸失利益の算出方法
逸失利益=年収×(1-生活控除率)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)
また、死亡事故の逸失利益の算出は、被害者の職業によって算出方法が異なります。
①収入を証明できる場合
交通事故前年の収入(税込み)
②収入を証明できない人(求職者、主婦など)
賃金センサスの男女別全年齢平均賃金に基づいた額
③無職者(幼児、18歳未満の学生、高齢者など)
賃金センサスの男女別全年齢平均賃金に基づいた額
生活費の控除率は、死亡により生活費がかからなくなるための控除ですが、日弁連裁判所の基準では以下の通りに定められています。
●生活費控除率
・一家の支柱:30~40%を収入額より控除
・女子(主婦・独身・幼児を含む):30~40%を収入額より控除
・男子(独身・幼児を含む):50%を収入額より控除
就労可能年数に対するライプニッツ係数(または新ホフマン係数)は、原則として、67歳までを就労可能年数としています。
※開業医・弁護士については70歳までとされる場合もあります。
※およそ55歳以上の高齢者(主婦を含む)については67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長期の方を使用します。
死亡事故の逸失利益についても、被害者の方お一人お一人計算項目が異なりますので、お亡くなりになられた被害者の方に代わって適正な賠償金を受け取ることができるようにするためにも、弁護士にご相談されることをお勧めします。